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サビアン日記302 魚座26度から30度 新アンドロメダ

魚座26度
●very thin moon crescent
★とても細い三日月=新月 月(個我)、太陽(大我)
新月が太陽と月が重なる時、大我の光に消滅する個我

魚座27度
●the hervest moon
★満月 太陽の意志を形するための個としての努力 うぅーん、ぽこっ(生まれる)うぅーん、ぽこっ  生むまえのうぅーん

魚座28度
●満月に照らされた肥沃な庭
★意志(父なるもの)と重力(母なるもの)どちらもなければ生まれてこれない

魚座29度
●プリズム
★地の法則のなかで自分の色になる

魚座30度
●巨大な石の顔
★その役になりきれば役であることを忘れる 地の法則のなかで動き出す


魚座26度から30度のおはなし

新アンドロメダ

 むかしむかし、神話の時代の物語。

 あるところに、それはそれは美しい一人の姫君がおりました。姫の名はアンドロメダ、地面にまで届く金色の髪、微笑むと仄かに薔薇色になる白磁の肌、微笑んでいても憂いを帯びた灰青色の瞳。17歳になる頃、アンドロメダ姫の美しさはいよいよ極まって、見る者になにやら不安な気持ちをすら与えるほどでした。いつの世も、ただならぬものは、ただならぬ運命を背負うものです。

 アンドロメダ姫の母君、カシオペア王妃もまた、たいそう美しく聡明で華のある御方でした。話上手で、カシオペア妃が話し始めると誰もが注目します。ですから王妃は、国民に大変人気があり、また他国との交渉事も王妃の機知と社交性をもって円滑に運ぶ、つまり優秀な外交官だったのです。テレビやラジオなどない時代でも、カシオペア妃は大変な有名人なのでした。

そのカシオペア妃の一番の宝物が一人娘のアンドロメダ姫です。母の目から見てもアンドロメダ姫の美しさは際立っており、その澄みきった美しさに畏怖の思いを抱くほど。けれどやはり、そこに濃い影を見出すのは母も同様で、このように清らなるものは、長くは生きられないのではないかと案ぜられるのでした。アンドロメダの人生が、つつがなく平らかであるようにと、王妃は日々願わずにはいられませんでした。

 アンドロメダ姫もまた、父ケフェウス王、母カシオペア王妃を深く愛していました。そして、王家の者は国に尽くす使命があるという父母の考えを心から尊敬していました。けれど、見本とすべき母カシオペアとは違い、アンドロメダ姫はとても内向的で大人しい。それを自覚している姫は、「私は決して母上のような外交手腕を発揮することは出来ないでしょう、それならば私は一体何をもって国に尽くすべきなのだろうか」と、いつも一人考えていました。


 宿命の時は突然に訪れました。
 
 姫を知る人々は、あぁやはりとどこかで感じながら、しかしいかなるお考えの下、これほどまでの試練を神は姫に与えたまうのか、人々が神に深刻な不信を抱いたのはおそらくこのときが初めてでした。

 荒波の打ち寄せる海岸の岩にアンドロメダ姫が鎖でつながれています。 強い風に煽られた長い金髪が岩に張り付き、痛ましくも、いよいよ神々しい御姿。この事態を招いたのはカシオペア妃の放言 「アンドロメダ姫の美しさにかなう者は、海の神ネレウスの50人の娘のなかにすらいないでしょう」。

 このことが海の大神ポセイドンに届くやいなや、王国の海岸は荒れに荒れ嵐が止むことはありませんでした。このままでは国は、ほどなく海に飲み込まれてしまう。ケフェウス王が国を救うべく神託を求めると「アンドロメダ姫を海獣の生贄に差し出せばこの災いは鎮まるであろう」。

 その者が最も激しい痛みを味わうであろうところに剣を刺しえぐる、これは悪魔の所業ではないのか、神とは一体何者でありましょう。ケフェウス王、カシオペア王妃は苦悶しますが、悩むうちにも国は水に沈下していきます。国を守ることは、王家の絶対の使命なのでした。

 遠くの海面が隆起し、海獣ティアマートが近づいてくるのが見えます。アンドロメダ姫はいよいよの時がきたことを悟ります。これが私の使命だったのだ、けれど、私はこの期に及び、覚悟を決めた決めたと思いながらもどこか世界を嘆き恨んでいる。あぁなぜ私だけがこのような目にあうのか、なぜ王家になどに生まれたのか、なぜ海獣に捧げられるのが他の誰でもない私なのだろうかと。あぁなんと情けない、父母への愛、国のために尽くそうと思った志は偽りであったか、私は余りにも弱い。ティアマートが近づいてくる、早鐘の鼓動、どうしても閉じられない瞳、一秒は百年よりも長い。

 ザバーンと水を打つ轟音、化け鯨、海獣ティアマートが身を捩り、煙るように水飛沫を上げ海上に姿を現しました。その時、ティアマートの瞳が見えました。あ、とアンドロメダ姫は思いました。そのときに感じたもの、それは恐怖ではなかった。逆でした。ティアマートの目を見た、そのとき、それまでの恐怖が消えていったのです、まるで分厚くて硬い殻がはがれ落ちるように。

 あぁ私はこの物語を知っている。幾度も繰り返される物語。もうすぐ天馬に乗った勇者ペルセウスが降りてくる。そしてティアマートと闘い、メデューサの首を突きつけティアマートを石にするのだ。そして私はペルセウスの妻となる。

 この物語のなかで、私はあるときは、岩場からこの劇を見ている観客だった、そしてあるときはケフェウス王、そしてあるときには私はティアマートだった。そして今私の役はアンドロメダ、私には真にやりたいことがある、それは国のためということではなかった。
 あぁペルセウスがもうそばに来ている。

「勇者ペルセウスよ!手出し無用にござる」
アンドロメダの高い声が響き渡りました。

“え!”0.00000001秒ほどでしょうか、ほんの刹那、世界が止まりました。ペルセウスもティアマートも岩場の人々も、空も海も精霊も、アンドロメダ姫以外の全ての者が、あれ?と感じたのです。皆この物語をどこかで知っているから。あ、アンドロメダ姫、台詞間違ってる、と。

「はっ」
アンドロメダ姫は、声ともつかぬ一声を発しました。すると姫の四肢を縛っていた鎖が、がしゃん、がしゃんと地面に落ちました。アンドロメダの肩先からオレンジの炎が揺らめいています、姫は内から発火していました。岩をくくる鎖をえいっと引くと地面がめりめりと割れ、切り離された岩塊にアンドロメダの炎が移ります。

「おぉぉぁぁぁぁぁあああ」
天地を震わす声波、岩塊につながる重い鎖を肩にかけたアンドロメダ、渾身の力でその鎖を引き、燃える岩塊をティアマートに投げつけました。

 岩塊は巨大といっても、巨獣ティアマートにとっては遊戯用のボール程、けれど、額に当たった炎塊は体内にめり込み、ティアマートは呻き声をあげています。アンドロメダの先制攻撃、しかしその呻き声が発せられたと同時に、その大きく開かれた口、恐ろしいギザギザの牙の奥に、見る間もなくアンドロメダは飲み込まれてしまったのでした。悶えながら海に戻っていくティアマート、嵐が止み雲が割れ青空が現れました。陽光に海面が輝きます。

 あぁ平和がもどったのだと、岩場から顔を覘かせ海を見つめる人々。すると、ゴォーという地鳴りが起こり、海の中央に逆向きの瀑布、巨大な水の柱が上がりました。細かい水の飛沫が人々の顔に降りかかりました。

 海獣ティアマートが爆発したのです。海泥で濁った灰色の噴水は徐々にブルーに変化し、その芯にオレンジ色の柱が見えます。オレンジの柱は徐々に太くなり、二本の柱、ブルーとオレンジは互いに絡み合い上へ上へと昇っていきます。ブルーとオレンジはそれぞれその色を変化させ、ブルーはやがてグリーンに、オレンジはやがて赤に。それからグリーンは黄に、赤は紫に。次第に色と色は溶け合って消え、白い大滝になりました。

 滝に大きな虹がかかります。虹とともに滝も見えなくなりました。 

 アンドロメダがティアマートに投げた岩は、爆発の時に七つに割れ、世界に飛び散ったそうです。
 

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


「ふぁー、アンドロメダ姫すごく強いね」

 イエティ(※)は今日もテンチョーのお話を聞きにお店に遊びに来ています。お話が終わると同時にジローさんの散髪も完成しました。テンチョーが、ありがとうございましたーと、ジローさんを見送ると、イエティも、ありがとうございましたーと声を張り上げます。ジローさんはにこにこして2人に手を振りました。

「イエティくん、お店の外に赤と青の斜めがぐるぐる回ってるのがあるでしょ、あれはアンドロメダ姫とティアマートがね、水の柱になってお空に昇っていくときの様子を現してるんだよ」

「わぁ、そうなんだぁー。 …でもね、テンチョー、色がねーえ、赤だったら緑、青だったらオレンジじゃないと、お話と違うだす」

「ほほぅ、イエティくん、すごいねぇ、よく気がついたねー。そうかーそうだよねぇ、ちょっと現代風にアレンジしちゃったのよ」

「そっかー、はぁ…アンドロメダ姫もティアマートも消えちゃったけど、二人ともよかったね… ラブラブだね…」
イエティは涙声でひっくひっくしゃくりあげています。

「えー、ラブラブ??、そうかぁ、愛かぁ」

イエティは赤青ぐるぐるのそばに飛んでいき、ぐるぐるをじっと見つめています。

「おう、イエティくん、こんちわー、散髪に来たよ」

「あ、ゴエモンさん! テンチョー、ゴエモンさんいらっしゃいませだよー」

「はいはい、いらっしゃいませー、ゴエモンさん、こちらにどうぞ」

お客さまが来たので、イエティも、もう一度、お話籠に入ってスタンバイです。お話籠は、テンチョーがイエティのために用意してくれた、お話鑑賞用特別席です。

「ゴエモンさーん、本日もゴエモンカットでよろしいですか?それでね、今日のお話はね、アンドロメダ姫のお話、ぐるぐるの秘密、よろしいですか?ぐるぐるだよ」



※イエティは、イスカンダルから地球にやってきた体長およそ20cm、埴輪形、全身が白い毛で覆われた宇宙生命体。時空を比較的自由に移動できるため各地に出没、テンチョーの理容店ほか、蛙石の神社、お友達のミワちゃんのお部屋等、行きつけの場所があり巡回している。拠点は湖の森、そこで仲間とともに暮らしている。



ジオセントリック(地球から見る)魚座26度から27度のときの
ヘリオセントリック(太陽から見る)の流れ

乙女座26度
●神官に仕える香炉を持つ少年
★大いなるものに自らを捧げる

乙女座27度
●儀式に集う高貴な貴婦人
★神様の意志の伝達者 巫女

乙女座28度
●力を捕らえた禿頭の男
★教義を超えたところからピカッと稲妻落ちてくる

乙女座29度
●知識を求める者が閃きを与える古代の書物を読んでいる
★知識の隙間から閃きを得ることができると気が付いた、それでそっちが大事だと思うようになって
そのために本を読むようになった

乙女座30度
●目の前の洋次に集中していて聞き逃した間違い電話
★聞き逃さない間違い電話 茶室でお茶をたてつつ庭の枯れ葉が落ちる音を聞く 空気読むレベルマックス


乙女座26度から30度 太陽から地球へ
個としての努力と個を超える努力 重なっている
by shizukushizuku | 2013-08-20 21:20
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